どくさいスイッチにおける消去領域展開の考察(なんだそりゃ)

 現在我が家には、学校帰りの親戚ボーイのために漫画が置いてあります。
 親戚ボーイのお気に入りは『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『ドラえもん(小学生向けのベストセレクション)』。この三種が一列に並んでいるとなかなか壮観で、『ドラえもん』が異様な存在感を放っています。
 そんな我が家の『ドラえもん』、子供のころアニメ(大山のぶ代版)で見た「どくさいスイッチ」が収録されていて、思わず読み込んでしまいました。
 消したい人間をこの世から消してしまう、というアレです。
 子供のころアニメで見て、のび太がスイッチを押すの?押さないの?にすさまじい緊張感を覚えました。
 すでにあちこちで紹介されているエピソードなのでネタバラシしてしまいますと。
 スイッチを2回使った罪悪感からのび太が悪夢を見て、思わず
 「みんな消えてしまえ」
 と叫んでスイッチを押したら、世界中の人間が消えてしまいます。
 最終的にのび太が反省し泣いてみんな戻ってきて、と願ったら、ドラえもんが復活。
 「これは独裁者をこらしめる道具なんだよ」
 とのび太を諭し、消えた人たちを戻してくれます。

 このスイッチ。消した人たちは本当に消えたわけではなく、押した本人が反省すると戻ってくる、という仕組みのようです。
 押した本人の世界=領域から敵が完全に排除される。効果最大範囲は地球全体。しかし敵は消された事実を覚えておらず、その身の安全は保障される。効果は本人が心底反省するまで継続する、というひみつ道具の術式なのかッ!!
 …と、『呪術』ライクな考察をしたついでに、考えてしまったことがもう一つ。
 「これ。押した本人が反省しなかったらどうなるんだ?」
 劇中では世界中の人間を消してから数時間で孤独に耐え兼ね反省したのび太。
 もし、
 「頑張れのび太、頑張れ!!お前はできるやつ(以下略)」
 と『鬼滅』ばりのやる気を出しちゃって、本当に一人で生き始めたら。
 「やる気がある=反省しない」うちは誰も戻ってこられないことになる。まあ、一日二日で音を上げればいいとして、のび太がスペアポケットから道具を取り出して本格的に自給自足始めて、ロビンソン・クルーソーみたいに何年も頑張ってしまったら…。排除された人は大丈夫なのか!?
 あるいは、消した後でスイッチが動かなくなったら?
 押した本人がキレるか何かして、スイッチを壊してしまったら?
 本人が『反省』できない状態になってしまったら?果たして消去効果は解除されるのかッ!?
 こんな想像をしてしまう私は、能力バトル漫画の読みすぎですね。
 いずれの場合も絶対にいいことにはならないと思うので、どくさいスイッチが目の前に現れたら絶対に押さないか、押したらすぐに反省したほうがよさそうです。


 これ以上危険なひみつ道具はないだろうな、と思いつつベストセレクションをめくってみたら。
 これさえあれば万引きもスカートめくりも許される「悪魔のパスポート」。
 栗まんじゅうを無限に増やして大ピンチになる「バイバイン」。
 言った言葉が現実になる「具象化鏡」。これを使った後で『胸が張り裂けそう』と言うと、本当に胸が張り裂ける。
 ベストセレクションには、どくさいスイッチなみに危険なアイテムが意外と多いことにビックリ。
 ドラえもん。何故こんなの買っちゃったの!?

2023年03月21日