エトフォルテ防衛戦線ヒデ! 第一部あらすじまとめ

 第一部 はじまりの日曜

 プロローグ~第3話
 日曜日にヒーローと悪の組織の戦いが繰り広げられ、ヒーローが絶大な権力を握る国・日本。
 千葉南部の海沿いの街・風海町(かざみちょう)に暮らす青年・真稔秀春(しんねん・ひではる)は、かつて魔法少女「フェアリン」のせいで家族を失っていた。やがて何もかもヒーローの都合が優先される日本の現実に落胆。蕎麦屋の経営をあきらめ、地元のショッピングセンターで警備員をしていた。

 日曜日の明け方。不真面目極まりない同僚に襲われたヒデは、宇宙船エトフォルテからやってきた龍族の青年ドラクローに助けられる。
 エトフォルテ人は人間に近い体に獣の特性を宿した宇宙獣人。新天地を探して宇宙船で旅を続けていた。宇宙船が地球に接近時、謎の攻撃を受け破損し、ヒデの地元にほど近い海に墜落。ドラクローはエトフォルテを守る「十二兵団(じゅうにへいだん)」の一員として、先輩のスレイ、幼馴染のムーコ、タイガらと陸地の偵察にやってきたという。

 お互いの事情や夢を語り合い、ヒデはドラクローらと久しぶりに楽しい時間を過ごした。
 だが別れ際、突如強盗と化した仮面ヒーロー『マスカレイダー』たちがショッピングセンターを強襲する。
 

 第4話~第6話
 燃え盛るショッピングセンターの中で、ドラクローたちは強盗ヒーローと戦いを繰り広げる。
 強盗ヒーロー「マスカレイダー・ゾック」と「マスカレイダー・ゴウト」は十二兵団を圧倒。ドラクローはゾックを変身解除に追い込み、殺害に成功。一方ゴウトはさらにスレイに重傷を負わせ、ムーコを人質に取り十二兵団を脅す。
 ヒデはドラクローたちを助けたい一心でゴウトを油断させる策を実行。さらに、変身解除したゴウトを金属ポールで殴打し止めを刺す。

 ドラクローたちとセンターを脱出したヒデは、警察やヒーロー庁(日本のヒーローを束ねる公的機関)に事情説明するため残ろうとする。が、ヒーローのおかしさをヒデから聞かされていたドラクローは、ほとぼりが冷めるまでヒデをエトフォルテでかくまうと提案。ヒデは迷ったが、ヒーローへの不信感を募らせていたので、エトフォルテ行の高速潜航艇に乗り込んだ。

 早くエトフォルテに戻ってスレイの手当てをしなければ。
 帰路を急ぐドラクローたちの前に、今度は巨大ロボを狩るカラフルなヒーローチーム「レギオン・シャンガイン」が出現。ロボの攻撃で潜航艇のエンジンが破損。シャンガインはそのまま墜落したエトフォルテに向かい、敵意は無いと日本語で釈明するエトフォルテ人たちに対し、光線兵器を乱射し殺害。長老と十二兵団長たちをはじめ、エトフォルテはリーダーを、大勢の仲間を失ってしまった。絶望の涙を流すドラクローたち。
 重傷を負ったスレイは死を悟り、ヒデに懇願する。
 「俺はもう、ドラクローたちを助けてやれない。お前しかいない。この星で頼れる人間は、お前しか、いないんだ」
 スレイはヒデに看取られ亡くなる。ヒデは泣いた。

 ドラクローたちを救うべく、ヒデは起死回生の策を提案する。
 それは、日本のヒーローに敗れた者が集う闇サイト「ジャークチェイン」を利用し、ヒーローの敵対者たちから協力を得よう、というものだった。
 正直不安は尽きないが、何もしなければ全滅は必至。シャンガインがもう一度攻めてくるであろう、1週間後の日曜日までに防衛体制を整えるしかない。ドラクローたちはヒデを信じ、最後まで共に戦うことを決意した。

 第7話~第11話
 ドラクローはヒデの知略を見込み、軍師を依頼する。ヒデはかつて映画監督志望の親友・八十島和彦(やそじま・かずひこ)に悪役(ダークヒーロー)を演じるノウハウを叩き込まれ、さらにヒーローを嫌っていたから個人的にヒーローの情報を多数集めていたのだ。
 ドラクローの幼馴染ジャンヌの提案で仮面をかぶり、ヒデは仮面の軍師となりエトフォルテを守る覚悟を決めた。

 ジャークチェインに苦境を訴える広告を載せ、迎えた水曜日。
 求人広告を見て集まった30組の者たち相手に、ヒデ、ドラクロー、ジャンヌ、ムーコ、タイガは面接試験を開始する。
 間抜けな大魔王や底抜け浮気男を落とし穴で退場させ、爆弾製作のプロとマッドサイエンティストを始末するなりした結果、残ったのは6人。

 訳あり小学生の礼仙時雨(れいせん・しぐれ)と翼(つばさ)の兄妹。母親が大量の薬を横流しし、闇で売りさばいているという。兄妹は薬の隠し場所を教えるので、自分たちを助けてほしい、と申し出た。
 医者にしてロボット製作者の武智(たけち)まきなと、彼女そっくりに作られた自律思考型戦闘用機動人形『バトルアイドール』アルファ(愛称アル)。ヒーロー庁の陰謀で、アルファことアルを言論封殺の道具にされそうになったので、逃げ出したという。
 悪の組織だけでなく、ヒーローとも敵対した第三勢力『神剣組』の二番隊隊長、義兼威蔵(よしかね・いぞう)。鋼をも断ち切る剣技で、エトフォルテへの助太刀を申し出る。
 レギオンとフェアリンの支援組織に所属していた、マティウス・浜金田(はまかなだ)。本名浜金田大五郎(はまかなだ・だいごろう)。ヒーロー武装の知識に長けると豪語する、個性的な言動が強烈な武装デザイナーだ。

 以上6人が協力を申し出て、エトフォルテに乗り込むことになった。
 さらに、缶詰工場の工場長、東海林沖定(しょうじ・おきさだ)が缶詰の寄付を申し出た。工場長は、ヒーローによる風評被害で売れなくなった缶詰を、陸まで取りに来てほしいと言う。缶詰工場はヒデの地元から車で1時間の場所にあった。

 第12話~第14話
 缶詰工場に缶詰を取りに行くため、ヒデとドラクローは仲間とともに再び陸に向かう。ヒデはまきな、アル、威蔵とともに、礼仙兄妹の母が横流ししているという大量の薬を確保しに行くことになった。
 缶詰工場で缶詰を運んでいると、工場長はドラクローに息子の「孝洋(こうよう)」をエトフォルテで働かせてやってほしい、と言った。動物人間が出てくるアニメや本が好きだという孝洋は、エトフォルテ行を自ら志願。ドラクローはこれを受け入れた。孝洋と話すうちに、ドラクローは日本近海に転移してきた異世界の国、クリスティア王国の存在を知る。そして、ヒーローの都合に振り回され泣き寝入りする日本人が少なくないことを痛感した。

 缶詰工場で車を借り、薬の隠し場所にたどり着いたヒデたちは、まともな方法では横流しできない大量の薬に驚きを隠せない。そこにやってきた、横流し犯の母親とその彼氏リョウジ。悪の組織から流出したアイテムで怪人と化したリョウジを、アルと威蔵が瞬殺する。
 そしてヒデは、母親の正体を暴く。製薬会社に勤めていた礼仙兄妹の両親は事故に見せかけて殺されていた。リョウジの恋人ユイカが悪の組織の改造手術で母親に成りすましていたのだ。ヒーローと悪の組織が戦い続ける日本では、こんな改造手術で悪事に走る者も珍しくない。
 すべてを見抜かれたユイカの口から、さらにどす黒い事実を聞かされるヒデたち。ヒデは命乞いするユイカを容赦なく射殺した。

 薬を確保したのち、ヒデはドラクローから時間をもらい、家に戻る。ドラクローたちを守るためとはいえ、自分は人を殺した。もう平凡な日本人の生活に戻れない。ヒデは己の行いとこれからを思い、身を震わせる。必要な荷物をまとめると、未練を断ち切って家を出た。
 そして、新たに仲間に加わった孝洋とともに、エトフォルテに戻るのだった。


 第15話~第18話
 新たに加わった仲間とともに、シャンガイン対策の会議を始めるヒデたち。話し合ううちにお互いの良さを理解し、少しずつ絆が深まっていく。対策を進める中、土曜日にシャンガインがエトフォルテを襲った映像がネットニュースで流れた。映像にはBGMが大音量でかぶさり、エトフォルテ側の声が完全にかき消されている。ヒデたちは悪意ある編集を感じ取った。
 翌日。墜落から1週間後の日曜日。
 日本ではシャンガイン出撃が生中継され、まるでライブイベント。国を挙げてお祭り騒ぎになっていた。その様子をエトフォルテで見守るヒデたちは、遊び気分同然でこちらを殺しに来るヒーローに憤りを隠せない。
 ヒデたちは強化されたロボ『ハイパーシャンガイオー』に乗ってやってきたシャンガインに、通信で話しかける。
 「なぜ日本語で敵意は無いと言ったエトフォルテを襲った?」
 直後、不自然極まりない奇妙な沈黙を経て、シャンガインたちは獣人への憎悪をぶちまける。もはや会話は不能、全面対決は不可避。ハイパーシャンガイオーがキャノン砲を放とうとしたその時、ロボは突如機能を停止する。先手を打ったのはエトフォルテだった。
 ロボの機能停止に狼狽し、何をしたのか教えろ!と怒鳴るシャンガイン。ヒデは彼らに言い放った。
 「教えませんよ」

 第19~24話
 ヒデは事前に仲間とブレーンストーミングを重ね、敵の行動を推測し二重三重の策を準備。ロボを倒すのではなくコンピューターウィルスで行動不能にし、あの手この手で敵を抹殺する準備をしていた。さらに、武装デザイナーのマティウスのおかげで光線兵器のダメージを激減させ防御力を強化。エトフォルテはシャンガインを追い詰めていく。
 全7人のレギオン・シャンガインは、マスクに搭載されたモニターにメンバーの生存状況が表示される。バリアに取り込まれ消滅、空中で網に捕獲され斬殺されるなどして、メンバーの生存表示が次々と消えていく。恐慌をきたすリーダーのレッドはドラクローに叩きのめされ、とうとうシャンガインは一人になった。
 ドラクローとヒデは瀕死のレッドに再び質問する。なぜエトフォルテを襲った?と。
 レッドは質問にまともに答えることなく、死に物狂いで反撃してきた。
 そして、シャンガインとの戦いは終わりを迎える。
 
 だが、本当に大変な戦いはこれから始まる。


 

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