デストロ到達から、2時間以上経過。
今や城壁にいる誰もが死に物狂いだった。
クリスティアの兵士は残り少ない矢でミニトロを撃ち、当たったら痛そうな物を片っ端から落とし、城壁を登るミニトロを食い止めていた。
ヒデをはじめ十二兵団の者たちも懸命に攻撃し、治療担当のまきなも、とうとう拳銃を握って撃ち始めた。
ミニトロによる城壁突破は、もはや時間の問題だった。
その間もデストロは、広域結界を破ろうとパンチを繰り出していく。
そして、ついに。
大量のガラス細工を床にたたきつけたような音とともに、結界上部が大きく割れた。
クリスティア城内の広域結界制御室でも、その様子はモニターに映っていた。
ぽっかり空いた結界上部で、デストロが結界の割れ目に手をかけ、大きく口を開く。口内に光が集まっていく。
採掘場で見せたあの光線を撃つつもりだと、その場にいる誰もが確信した。
「もう駄目だあ!」
「修復が追い付かない!!」
広域結界を維持するため、避難民たちの魔力を注いでいるが、デストロが割れ目に手をかけて修復を阻んでいる。
エイルたち魔術師の心は、結界同様に割れて砕け散らんばかり。
その時、リルラピスが制御室に到達した。
「待たせてごめん!私も魔力を注ぎます!」
魔力を蓄える大型の魔術機構に、クリスティアロッドを近づけるリルラピス。
「魔術は心で放つものなり。魔力は心の力なり」
魔術師心得を復唱し、ありったけの気持ちを込めて魔力を注ぎ始めた。
「人の心に限界無し。ゆえに、魔術に終わり無し!」
ぽっかりと空いた結界上部では、デストロがあんぐりと口を開け、光線発射の体勢をとっている。
城壁の者たちは恐慌をきたした。
「に、逃げましょう、グラン様!」
兵士に泣きつかれたグランは、必死に首を横に振る。
「駄目だ!それにミニトロがこれだけいては、もうどこにも逃げられない!」
光線が放たれるのが先か、城壁に到達するミニトロが先か。どちらにしても絶望的。
ヒデたちの銃器も、残弾はほとんどなかった。クリスティア騎士たちの矢も、魔術大砲に込める魔力も無くなってしまった。
生真面目なあります口調の騎士、タグスがヒデにすがりつく。
「軍師殿!我々はどうすれば!」
少し前までただの蕎麦屋だったはずが、いつの間にか本職の騎士にアドバイスする立場になってしまった。
ヒデの心のどこかで、冷めたもう一人の自分が語りかける。
もう打つ手はない。みんなで逃げよう。僕は普通の日本人として精一杯やったんだ。
だが、軍師としての自分が踏みとどまる。
誠意と責任を放棄する発言は許されない!軍師としての己を貫け!
今撤退を提案したら、限りある昇降機にみんな駆け込み、その背後からミニトロがやってくる。大パニックは目に見えていた。
何より、ミニトロが城壁を超えてしまえば、城内にいる避難民が助からない。
ヒデは借り物の剣を握りしめファイティングポーズ。手も足もブルブル。仮面の下では口内がカラカラになっていた。
もう気の利いた軍師らしいことなんて、言えない。ヒデは率直に言った。
「破壊神におびえたまま死にたくない!心は、魂は、最後まで戦うんだ!」
その姿に、一瞬あっけにとられる周りの者。
最初に口を開いたのは、ハッカイ。笑っていた
「ギャハハ!いい度胸だ!とことん十二兵団の魂を見せやがって、ヒデ、てめえこの野郎!」
ヤケクソ気味だが、陽気な笑い声。そしてハッカイは、ヒデの背中をバシバシ叩く。痛いけど、なぜだかヒデは嬉しかった。
カーライルも笑い出す。
「主任じゃないが、どうせ死ぬなら前向きだ。オレは笑うぜ!」
彼らの笑いにつられて、クリスティアの騎士も兵士も笑い出した。グランが精一杯の笑顔を浮かべて叫ぶ。
「そうだ!最後まで頑張ろう!我々は、この国の皆のために頑張るんだから!」
クリスティア騎士も、十二兵団員も、今にも泣きそうな顔で笑っていた。まっすぐに前を向いて。
ぐったりとよろめくアルが、かすかな声を絞り出す。
「博士……。私は、最後まで、博士の、そばに……」
「大丈夫。私もずっとそばにいるから、ね」
わずかな弾丸が込められた拳銃を祈るように構えて、まきなはアルとともにデストロを見つめる。
デストロの口内は、はきちきれんばかりの光であふれていた。
結界の修復速度は、リルラピスのクリスティアロッドのおかげで今まで以上に加速した。それでも、デストロの顔のあたりは開いたままだ。
魔力を結界に込めることで、体から大切な何かが猛烈な勢いで抜けていく感覚を、リルラピスは覚える。気を緩めたら、もう立っていられない。
心を無限に魔力に変えることはできても、体力に限りがある。自分の限界はとっくに超えている。リルラピスはわかっていた。
だけど、限界のさらに先まで力を出さなければ、デストロには勝てない!
「絶対に、絶対にみんな守り抜くから!」
さらに力を振り絞り、魔力を注ぎ込むリルラピス。
制御室のエイルも、ライトも、パズートも、そして手を繋いで魔力を注ぎ込む避難民たちも、全力を注ぎ込む。
もっと!
もっと!!
この国を守るために!!!
結界に魔力を注ぎ込むクリスティア人の気持ちがひとつになる。
魔力は爆発的に比例して、広域結界制御装置に一気に注ぎ込まれる。
その時、誰も予想しなかったことが起きた。
短時間で爆発的に魔力が注がれたことで、結界が高速で修復したのみならず、あふれだした魔力が衝撃波となって城から放たれた。
デストロからこの国を守りたい。
その一心でリルラピスたちが注いだ魔力が生んだ衝撃波は、首都ティアーズの内外にいるデストロとミニトロたちを大きく吹き飛ばす。
城壁にいた騎士たちと十二兵団員たちに、影響はなかった。
デストロが大きく吹き飛び、首都ティアーズから離される。
だが、口内にたまった光は健在。
「ティイイイイイアアアアアアンンンンジェエエエエエエルウウウウウウ!!」
宙に浮く300mの巨大なタマネギ型破壊神は、宿敵ティアンジェルがいるティアーズを吹き飛ばすべく、とうとう光線を発射した!
デストロが放った極太の光線をモニターで見たリルラピスが、叫ぶ。
「エイル!受け止めて!」
結界の攻撃機能を作動させて、エイルは二本の光の腕を形成。間一髪で光線を受け止めた。
が、容赦なく押されていく。エイルがうめく。
「やば、い、ですわ……!」
破壊神の口内から伸びていく光線の力は、広域結界の腕より強い。
「魔力を、もっとっ!」
エイルの要求に、さらに魔力を振り絞るリルラピス。
避難民たちの魔力を手つなぎで注ぎ込んでいるパズート、絶叫。
「踏ん張るのじゃあああ!」
広域結界の光の腕が、少しずつ光線を押し戻し始める。
「グ、グゴアアアアア!!??」
タマネギ型の破壊神は、不思議な力で空中に踏みとどまるも、じり、じりと後ずさりをはじめる。
城壁の上で一進一退の様子を見つめるヒデたちは、拳を握り叫び続ける。
「頑張れ!」
「負けるんじゃねえ!」
「王女様!」
広域結界制御室のモニターから、城壁でみんなが応援する声を聞くリルラピス。
限界の先のさらに限界まで魔力を注ぎ続けた。
今やクリスティアロッドはすさまじい熱を放っている。もう、握ってられないほどに。
ロッドを握る手の皮膚が焼ける。皮膚と血の焦げるにおいが鼻をつく。
この手を離したら、もう魔力を注げなくなる。誰かに自分の手を、心を押さえつけてほしい。
だがエイルもパズートも、他の魔術師も手いっぱい。疲労は極限の先まで達していた。
もう、駄目……!手が……心が……離れて……!
リルラピスがすべてを手離しそうになった瞬間。
「リル!しっかりしろ!」
アレックスが、がっしりとリルラピスの手をつかむ。
「王女様!フェアリンたちは始末しました!あとはデストロだけです!」
さらにウィリアムも、リルラピスの手を支える。二人の魔力が、クリスティアロッドを通じてリルラピスにも伝わってくる。
二人の支えが、リルラピスに大切なことを思い出させてくれた。
父と母と過ごした日々。
信じてくれた仲間たち。
全力で協力してくれたエトフォルテ。
魔力を託してくれた国民。
失いかけた心に、手に、力が戻る。
そして万感を込め、リルラピスは叫んだ。
「ほとばしれーっ!!!」
広域結界全体から、水しぶきにも似た細かな光が無数にほとばしる。
光の腕は一気に伸びて、光線をデストロの口内に押し込めた。
光線が、暴発。
生々しい破裂音と豪快な爆裂音が鳴り響き、デストロのタマネギ型の体の上半分が消し飛んだ。
城壁にいるヒデは、仮面の内側でごくりとつばを飲み込み、呟く。
「や、やったか!?」
そしてすぐさま思う。
この台詞。映画だと絶対敵が生きているパターンでしか聞かないやつだ。
果たして、タマネギ型の破壊神の下半分がふわり、と浮かんで起き上がる。ダークグリーンのぐちゃぐちゃした肉塊としか言えない断面が、見えた。
その断面の中心に、不気味に脈打つ真っ赤なアーモンドのような物が見える。
グランがあっ、と声を上げる。
「あれが再生核か!」
アーモンドの三分の一くらいは肉塊に埋まっている。ちょうど、タマネギの真ん中くらいの位置だ。ヒデはその位置を脳裏に焼き付ける。位置的には最も膨らんだ胴体の中心で、リルラピスの言ったとおり。
再生核に傷がついているようには見えない。次第にデストロの体が再生し始めた。
リルラピスたちが決死の覚悟で光線を押し返すも、再生核は壊せなかった。
さらにヒデたちは、絶望的な事態を目の当たりにする。
広域結界が、うっすらと消えていく。
ティアーズ城内の広域結界制御室では、限界の限界を超えたリルラピスたちがぐったりと倒れていた。パズートとともに手を繋いで魔力を注ぎ続けた、避難民たちも。
もう誰も魔力を注げない。クリスティウムも使い切り、広域結界を維持できなくなったのだ。
デストロの姿が再生していくのをモニター越しに見て、再び立ち上がろうとするリルラピス。だが、すぐに倒れてしまう。
体がもう動かない。倒れ伏したリルラピスの目から、涙がこぼれた。
やがて、タマネギ型の空に浮かぶ破壊神の全身が再生した。
デストロは頭を振ると、広域結界が消えたティアーズの街をにらみつける。
自分の前に現れ、飛んで行ったかつての宿敵。ティアンジェルの気配は、感じられない。
やがて、ティアーズとは別の方角から、ティアンジェルの力が放たれているのを感じる。
デストロはティアーズに背を向け、ゆっくりとその方角に進み始めた。
「ティ、ティア……ティアアアア……」
雄たけびを上げようとするが、完全に失速している。吹き飛んだ体半分を再生するのに、相当量の体力を消耗した。
そのせいで、デストロはミニトロを生み出すこともできなくなっていた。
城壁にいるヒデたちは、デストロが背を向け移動を開始したのを見た。
おそらく頭を吹き飛ばされたことでデストロの思考がリセットされ、エトフォルテが放つ誘導電波を感じ取ったのだ。
タイガたちに連絡しなければ。ヒデが通信機を手に取った、その時。
城壁の下から再びミニトロがよじ登り、雄たけびを上げヒデに飛びかかってきた。
「しまった!」
ヒデは通信機を操作するために剣を手放している。ミニトロが鋭い爪を振りかざしたとき、使い切ったはずの銃声が鳴り響く。ミニトロの頭部が吹き飛んで、落下した。
銃を撃ったのは、
「孝洋君!」
狙撃銃を構えた孝洋だ。そばにはカメラを持ったジューン。そして騎士マグネスとニケルがいる。
「ヒデさん無事か!」
孝洋たちは、ウィリアムとアレックスを城に送り届けてから、ここに駆け付けたのだという。
「なんとか。でも、もうミニトロに立ち向かうための武器がない」
衝撃波で大きく吹き飛ばされはしたが、城壁の外のミニトロはいまだ健在。その数は千や二千には到底思えないほど。
「とにかく、エトフォルテのタイガさんに連絡を」
ヒデは改めてエトフォルテに連絡を入れ、状況を報告する。通信機の向こうから、タイガの声がした。
『ヒデ!兄貴たちが、もうすぐそっちに着くはずだ!デストロはエトフォルテの主砲で仕留める!』
「ドラさんたちが!?」
『道中、兄貴たちが義勇兵を、威蔵たちが車両をたくさん確保した!戦力は充分だ!』
タイガの頼もしい声に応えるように、城壁の外から新たな銃声が鳴り響く。
さらに、通信機に新たな着信音。相手はドラクローだ。
『ヒデ!遅くなってすまない。俺たちにあとは任せろ!道中のミニトロは、ほとんど片付けた!』
城壁の眼下に、援軍の姿が確認できた。
エトフォルテの銃器とクリスティアの魔術弓が放たれ、ミニトロを粉砕する。射撃をかいくぐって接近したミニトロたちに、ドラクロー、威蔵、そしてクリスティア騎士たちの武技が炸裂する。
しばらくすると、城壁の昇降機を登って新たな援軍が到着した。エトフォルテのジャンヌとムーコが率いる心の部の治療班だ。
どうやってここに来たのか聞くと、ジャンヌが言う。
「外から城壁に通じる秘密通路を、騎士たちに教えてもらった。重傷者を昇降機に載せて、すぐに治療を受けさせるわ」
ムーコが、ぐったりしているアルを見て悲鳴を上げる。
「アルちゃん、大丈夫!?」
「……すみ、ません。もうエネ、ル、ギーが、つき、かけ……」
「大変!携帯用の充電システム、エトフォルテから持ってきたよ!博士も一緒に」
まきなは重傷者の治療を手伝うため、アルを伴って先に昇降機に乗った。
それを見届けて、ヒデはへたり込む。ドラクローたちが来てくれたと思ったら、安心して腰が抜けたのだ。
ハッカイが、ヒデに手を差しだす。
「休んでるヒマはねえぞ。負傷者を降ろす手伝いをしようぜ」
「そうですね、ハッカイさん」
ハッカイの大きく力強い手を握り、ヒデは起き上がる。
するとハッカイ、仮面を外し、照れくさそうに笑った。
「ヒデ。お前に願いを託したスレイは、正しかったよ」
デストロは、エトフォルテが発する神器ティアンジェルストーンそっくりの誘導電波に惹かれ、とうとうエトフォルテの停泊している海までやってきた。タマネギ型の巨体が海上に浮かび、エトフォルテの目前に迫る。
エトフォルテ指令室のモニターは、デストロの巨体を正面にとらえた。
「デストロ、主砲正面の射程圏内に侵入!」
モルルの分析に、タイガが指示を出す。
「よおーし!重力制御装置(グラビート)、全力展開!デストロを持ち上げろ!」
技の部の団員たちが、目まぐるしく指令室のボタンやレバーを操作する。
直後、デストロにかかる重力が、大幅に軽減される。300mの巨体が大きく空中に持ち上がり、次いで固定される。
何が起きたか理解できず、破壊神は空中で必死に手をじたばたさせた。
タイガがさらに指示を出す。
「エトフォルテ船首、デストロに合わせろ!!主砲発射準備!!」
次いで船首が持ち上がり、先端が開く。銀色に輝く砲身が、頼もしい駆動音ととも伸びていく。
主砲のエネルギー充填を担当するリーゴが告げる。
「主砲エネルギー充填完了!」
さらにモルルが告げる。
「射角調整、よし!陸地を巻き込まない射線を確保!」
最後に、マティウス。
「ヒデの報告から、再生核の形状と位置を割り出したわ。照準の最終調整を!」
技の部の団員がマティウスによる照準データを入力し、最後の準備が整った。
発射時の閃光から団員たちの目を守る特殊フィルターが、モニターに展開される。
タイガは、主砲の発射装置に手をかける。引き金が装着された二本のレバーだ。同時に二つの引き金を引くことで、主砲が発射される。
みんなにに託された任務、絶対に成功させる!
タイガは発射の秒読みを始める。
「発射、5秒前!4、3、2、1、発射ぁーッ!!」
そして引き金を力強く引く。
主砲から、赤く輝く光線がデストロのタマネギ型腹部めがけて発射された。
「ギャアアアアアアアアアアッ!!」
デストロの悲鳴とともに、腹部に大穴が開く。
光線が収束したとき、穴の中でアーモンド型の再生核がずたずたになっているのが見えた。
それでも、デストロは、死んでいなかった。ぐじゅぐじゅとした穴が、再生核が、ゆっくりと確実にふさがっていくのをモニター越しに見て、タイガは舌打ちする。
「王女様の言うとおり、とんでもない再生力だ!」
だが事前の話で、第二射に備えてある。しかもデストロは先ほど、広域結界による反撃で上半身を吹き飛ばされた。再生に相当のエネルギーを使った今、体力は落ちているはず。仕留めるのは今しかない!
モルルが指示を出す。
「再生核が肉に覆われる前に、第二射を放つ!急いで!」
デストロはその間も雄たけびを上げて前に進もうとするが、重力制御装置がそれを許さない。エトフォルテが住民とともに安全に宇宙を航行するために造った渾身の装置で、船体以上に大きな物体の重力も制御できるのだ。
「ティィィイイアアアンジェエエエルルウウウウウウウ!」
進退窮まったデストロが、大きく口を開く。
光線を撃つ気だ!タイガも負けじと口を開く。
「撃たせてたまるかってんだ!」
リーゴがエネルギー充填完了を告げる。
「タイガ!止めを刺せ!」
再びタイガは引き金を引く。
「第ニ射、発射だあああああ!」
第二射は、さらに威力を高めて発射された。
皆の思いを載せて放った光線が、デストロの体全体を焼き尽くしていく。
「ア、 アアアア、ギャアアアアーッ!」
デストロの悲鳴が、海上に鳴り響く。ついに十数秒後には、驚異的な生命力をつかさどっていた再生核もろとも、破壊神はこの世から完全消滅した。
二度にわたり空を走った光線は、上空に立ち込めていた雲を吹き飛ばす。
朝日とともにクリスティア王国で始まった死闘をねぎらうように、雲一つない澄み切った夕空が広がる。
モルルが、弾んだ声で報告する。
「デストロの完全消滅を確認!!」
エトフォルテにいる者たちは、喜びを分かち合い、抱き合った。
デストロの消滅に伴い、首都ティアーズで暴れていたミニトロたちは、ばたばたと倒れていった。
ドラクローたちは、動いているミニトロがいないか厳重に確認。
エトフォルテからデストロ消滅の通信を受けると、ドラクローは右腕を力強く突き上げた。
「みんなの勝利だ!!勝どきを上げろ!」
おおおおおお!!
戦士たちの勝利の叫びが、首都に響き渡る。
城壁にいるヒデやグランたちも、勝利を喜び叫ぶ。
広域結界制御室で医官から治療を受けているリルラピスたちにも、エトフォルテから通信機によってデストロの消滅の知らせは届いている。
そして、さらなる吉報が飛び込んできた。ユメカムとブロンによって占領されていた試験農場が、農場付近の山中に待機していた仲間たちによる総攻撃で、解放されたという。
「良かった……本当に!」
リルラピスは気持ちを抑えきれず、泣き出した。その隣で、近衛騎士のアレックスはわんわん泣いている。
「リル、良かったよおおおおお!」
「アーリィ、泣きすぎだ」
たしなめるウィリアムの目にも、光るものがある。
リルラピスはアレックスとウィリアムを抱きしめる。
「みんな、みんな、本当にありがとう!」
制御室で全力を尽くしたエイルも、ライトも、パズートも。城内で魔力を提供した避難民たちも。みんな、泣きながら笑って勝利を喜んだ。